東京工業大学 大学院総合理工学研究科
知能システム科学専攻
特別講義 第4 (2007年度開講)


近年、生物学において、「つくる」ことを研究の手段とする合成生物学が勃興しています。

この講義では、つくる生物学の発展とその背景にある思想などについての紹介をお願いしています。
とくに生物学の未修者でも興味深く聴講してもらえるような編成としていますので、皆様、ふるってご参加ください。

講義日程 (各日 13:20から16:20まで講義。その後質疑応答)



10/30(火) 伏見 譲 先生 (埼玉大学) 
「作ってみる進化論」
 @「すずかけホール集会室2」

11/13(火) 岩崎 秀雄 先生 (早稲田大学、科技機構さきがけ)
[「細胞を創る」研究の文化・社会的含意  〜生命・アート・歴史を巡って]

 @J2棟 19F 総合理工学研究科会議室

11/22(木)  井上 丹 先生 (京都大学)
[RNA シンセティックバイオロジー]
  @J2棟 19F 総合理工学研究科会議室



この講義に関する問い合わせは木賀大介までおねがいします。


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講義概要



伏見 譲 先生 (研究室HP

試験管の中で、核酸や蛋白質を高速に進化させてみると、ダーウィン進化機構論が的
を得た理論であることが理解でき、その拡張すべき方向もわかってきます。この進化
分子工学は基礎科学への貢献(生体高分子論、生命の起源など)と福祉産業応用(創
薬など)を車の両輪として発展していますが、その考え方と成果を紹介します。最後
に、進化分子工学の立場から遺伝コード表を評価します。


岩崎 秀雄 先生
「(人工)細胞の創出」という試みは,自然科学的に大きなチャレンジであるだけでなく,社会的・文化的に見ても,「応用可能性・危険性はどの程度あるのか」「どのレベルなら細胞(ないし生命)を造ることが許されるのか」「わたしたちの生命観とどのように関係するのか」「創りながら生命を理解する,ということはどのようなことなのか」といった,様々な興味を喚起する研究課題です。
そこで,この講義では「生命の構成的解析・構成的理解」という試みが不可避的に抱える文化的含意や,歴史的,社会的背景や安全面に関する懸念について考えてみたいと思います。このような研究においては,人間がどのように生命を捉えてきたのか,生命を扱う技術や言説にどのような広がりやイメージがあるのか,といったことを改めて問う必要があります。講義の後半では,そうした試みの一つの切り口として,アートにおける生命表現や,アートと自然科学的生命観が交錯する様相の紹介と分析を試みたいと思っています。

参考:
【生命科学研究】
・N. Takai, M. Nakajima, T. Oyama, R. Kito, C. Sugita, M. Sugita, T. Kondo, H. Iwasaki (2006) "A KaiC-associating SasA-RpaA two-component regulatory system as a major circadian timing mediator in cyanobacteria " Proc Natl Acad Sci USA, 103: 12109-12114
・Tomita J, Nakajima M, Kondo T, Iwasaki H (2005) "No transcription-translation feedback in circadian rhythm of KaiC phosphorylation." Science 307, 5707: 251-254
・M. Nakajima, K. Imai, H. Ito, T. Nishiwaki, Y. Murayama, H. Iwasaki, T. Oyama, T. Kondo (2005) "Reconstitution of circadian oscillation of cyanobacterial KaiC phosphorylation in vitro" Science 308, 5720: 414-415
【生命文化誌】
・岩崎秀雄 (2005) 生命リズムへの複眼的まなざし:生物リズムの文化誌と分子機構
科学75 (12) : 1388-1393
【現代美術】http://www.f.waseda.jp/hideo-iwasaki/papercut.html



井上 丹 先生
RNAとはなにかから始めて、10-100nm程度の大きさの RNA/RNPの分子デザインの方法、実績や基礎となる知見について解説し ます。その後、今後の方向性であるRNAやRNAとタンパク質 の複合体であるRNPを分子デザインし、これら分子に細胞機能制 御の能力を付与する技術の開発、さらには、この技術を用いて人の細胞 の遺伝子発現を制御することで、がんなどの病気の治療をおこなう新し い手法の開拓について述べる予定です。